社長の独り言

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社長の独り言 Vol.100 読書


 2012年10月1日
 涼しくなった風を感じ、テラスのあるコーヒーショップでコーヒーを飲みながら本を読むのにいい季節になった。いつものコーヒーショップに入った時、若者が「iPad」を使って電子書籍を読み、画面を指先で触れながらページを変えていた。しばらくその動きを見ていたが、真似をしたい美しさはなかった。私が文庫本のもつアナログ的波動を指先で感じながらページをめくり、コーヒー片手に本を読む姿になじんでいる世代だからだろう。
 
 テレビや電子画面は、見ている側の思考や想像力を無視して情報を一方的に押しつけてくる。これは私達にとって“受動的情報”といえ、ゆがんだ思想洗脳にもなりえる。また目に入
ってくる独特の光は脳を劣化させ、幼い子供ほど敏感に感化される。その極端に悪い例がゲーム機多用によるゲーム脳化だ。ひどくなると字が上手く書けず、会話下手になり、落ち着きのない状態になる。
 
 それに対し、本を指先で感じながら読んだり、美しい音楽を聞いたり、いい芸術に見たり触れたりして、五感を程よく刺激しながら入ってくる情報は“能動的情報”といい、心身の発達に良い影響を与える。
 
 先般、某小学校で「iPad」に特殊なタッチペンを使って漢字学習の様子がTV画面に流れた。先生は、「これがこれからの漢字学習法です」と声を大にして言ったが、「ムム、何じゃ?!」と思った。私は書道をしている。墨の匂いを感じながら、姿勢を正し、筆先の強弱と書き順によって独自の線を描き、その文字の持つ表情と意味を感じるのが漢字文化の習得法と思っている。少なくとも、鉛筆で筆圧を感じながら紙に書くことが、その人の指先や五感が感じる最も有効な漢字学習法である。機械文明の発達が、本来身につけるべき日本人としての基礎感性の体得を失わせている。

 9月初旬、住友VISAカードの月原紘一会長主催で仲間12人と東京・宝塚劇場で「ロミオとジュリエット」を観劇した。宝塚歌劇団は常に“愛と死”という心のテーマを追い求めた題材を脚本・演出をしているので、人の心を捉えいつも満席になる。その原作者のシェクスピアは、1600年頃に「ロミオとジュリエット」を書き上げ初演したが、その物語の原点は、紀元前15世紀頃の古代ギリシア神話の中にある。つまり今から3100年前にあった“愛と死”という心のテーマに今もって人は涙し感動している。こうしてみると、機械文明はいろいろと進化、変化しても、人の心をとらえるテーマは3100年前と変わらないと言える。「愛と死」は不偏なのである。

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